書き出し
現実社会でも当てはまることだが、親交を深めていくうえで雑談は欠かせない。アニメでも登場人物同士の関係性が深まっていく様子を見せるうえで雑談に焦点を当てた作品は多い。
今回の記事では本編の進行に関係のない登場人物たちの会話で面白いと思った作品を主にピックアップします。登場人物たちの会話の掛け合いそのものを物語の主軸に置いた作品、いわゆる日常系と呼ばれるもの(化物語シリーズがまさに筆頭)アクションもの、シリアスものの中でも頻繁に会話が繰り広げられる作品を紹介しようと思います。
おすすめアニメ6選
ヨルムンガンド
ヨルムンガンド 高橋 慶太郎(著/文) – 小学館 | 版元ドットコム (hanmoto.com)
<簡単なあらすじ>
両親を殺めた武器を憎みながらも、武器がなければ生きていけないことを理解している少年兵、ヨナ。最強の用心棒たちを連れて世界中を歩き回り、様々な武器を売る女武器商人、ココ・へクマティアル。ある日ヨナはココの仲間に加わわることになり、ヨナが憎んでいる武器商人という人間との旅が始まる。ココの旅の目的はざっくり言えば世界平和。
<感想>
筋肉ムキムキで強くてかっこいい女や男たちが敵をばったんばったんと銃や接近戦でなぎ倒していくシーンがある一方でそんな作中最強の大人たちが、気の抜けた発言や面白いことを言うのでつい笑ってしまいます。本格アクション、ミリタリー作品でありながらシリアス一辺倒にならずユーモアを取り入れているので見ていて飽きません。
私的にも一回聞いただけでは理解するのが難しいなと思っていた、ある組織の背景の話をしだしたときに作品の登場人物たちもメタ発現ではなく、わざと難しく話をしただろとツッコミを入れる場面があります。このようにシリアスな話をしていると思ったら最終的に笑いに持って行くシーンがたまにあるので真面目なテイストとのギャップに油断してつい笑ってしまいます。
四畳半神話大系
<簡単なあらすじ>
京都の大学を舞台にした作品。主人公は大学で悪友と出会い様々なしょうもない企みを働く。物語の主要な内容は主人公が平行世界に迷い込み、異なるサークルや団体に何度も入会してはやり直すを繰り返す、自分ではパラレルワールドに入っているのに気づいていないが。
<感想>
大学生活というありあまる貴重な時間を不毛なことに費やせる特権を抽象的に表現したような言い回しの数々。その形容に形容を重ねていく婉曲的な主人公の物言いは見ていて楽しい。くどい言い方よりも簡潔にものごとを言ったほうがよいかもしれない。けれど言葉に装飾をつけていくように、無駄だと思われることも回りまわってその人自身を形作ることにつながっていくと思わせてくれた。
若干主人公の報われなさが見ていてもどかしいが、明石さんという救いがあるおかげでバランスを保っています。それがまたこの作品に引き込まれる所以なのでしょう。・キャラクター原案はイラストレーターとして人気の高い中村佑介さん。日本画を現代風に仕上げた特徴のデザインもこの作品と絶妙にマッチしています。
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない
青春ブタ野郎はバニーガール先輩の夢を見ない 1 七宮 つぐ実(著/文) – KADOKAWA | 版元ドットコム (hanmoto.com)
<簡単なあらすじ>
舞台は江の島の高校。主人公は様々なヒロインが抱えている悩みや問題に寄り添い、一緒に解決をしていく。主人公たちに生じる問題が若干ファンタジーチックを帯びた、日常を描いた作品。
<感想>
人気アニメSPY×FAMILYの制作会社「CloverWorks」が手掛けた作品。青春ブタ野郎シリーズの第1シリーズ。他に現在まで全3シリーズが展開。SPY×FAMILYで実感しているような安定した作画、キャラデザインの良さがこの作品でも堪能できます。
説明じみたわざとらしさがない会話が多いので見ていて違和感を感じず、静かにボケて静かにツッコミをいれる、そんな落ち着いた会話がとてもほほえましい。恋愛系の作品の中でも雑談の部分が丁寧に描かれていてキャラ同士の親密具合というのがより正確に感じ取れました。お気に入りのシーンは終始落ち着いた雰囲気で進行していた物語のなかで主人公が未来の自分に託すシーンとあることのために誰にも事情を話さず眠らないように頑張っているところ。どのような展開になるか夢中になって見入ってしまいます。
化物語(物語シリーズ)
化物語(14) 西尾 維新(原著) – 講談社 | 版元ドットコム (hanmoto.com)
<簡単なあらすじ>
吸血鬼、蟹、蛇、猫などにまつわる怪異と呼ばれる概念的な脅威が主人公や彼の周りにいるヒロインたちを襲う。主人公は怪異に詳しい専門家や怪異が実体化したものと協力したりして問題を解決していく。これらは物語を展開させていく要素ではあるが、軸としては主人公とヒロインたちとの会話がメインどころである。物語シリーズの第1シリーズ。
<感想>
基本的にはヒロインたちがボケて、主人公がツッコミを入れる構図。ひたすらそれを楽しむ作品。それ以下でもそれ以上でもないはず、、にもかかわらず取り上げられている本編の題材や設定が凝っていて物語のほうにも自然と興味がそそられてしまいます。これらの点からまさに雑談アニメの頂点だなとは個人的には感じています。
特にお気に入りな要素はあるヒロインの話し方が他の作品にはない独特な抑揚の付けかたをしていること。つい癖になって聞き入ってしまいます。また、主人公のツッコミの内容や言い方。安定して面白いです。ヒロインたちから褒められるくらいその技は磨かかれています。アニメキャラがくだらない話をひたすらしているのを見たいときにはこの作品はうってつけだとそう思います。
おそ松さん
<簡単なあらすじ>
赤塚不二夫作品の昭和の時代のギャグアニメ「おそ松くん」を現代風のテイストで蘇らせたアニメ作品。6つ子の松野兄弟が働きもせず親のすねをかじりぐうたら日々を過ごしている様子を描いた物語。1話1話完結しているオムニバス形式。基本はギャグだが、時折ホラーテイスト、ファンタジーチックなものまで幅広いジャンルで展開されている。
<感想>
主にツッコみ担当の3男チョロ松と末っ子トド松が個人的に面白い。前話でやらかしたことにちなんでついたあだ名を雑談中にさりげなく呼ばれていじられたり、普段のツッコミとのギャップもあってボケた時にはよりそのボケが極まったりと笑いどころをだいぶ持っていっています。特に面白い回が、末っ子トド松が兄たちに黙ってスターバックスでバイトしていたのがバレた話です。その時についたあだ名「トッティ」をこの後の話以降散々いじられているのがたまらなく笑えます。リアルでもあるようなあだ名のいじりというのをアニメ作品でも取り入れているのはこの作品くらいなので今回ピックアップしました。
よふかしのうた
本の詳細検索 | 版元ドットコム (hanmoto.com)
<簡単なあらすじ>
学校での悩みで不眠症になり夜眠れなくなった主人公が夜中外を歩き回る物語。そこで一人の少女と出会う。夜の楽しさを教えてくれた彼女が吸血鬼だと知ると自分も吸血鬼になりたいと、主人公は初めてやりたいことを見つける。しかし、吸血鬼になるための条件は吸血鬼に恋することだった。それは主人公にとって難問であったのだ、、
<感想>
ついこの間の2022年9月末で第1期が終わった作品。当初、作画が途中の回で崩壊してしまうのではと懸念されていたが、杞憂で終わり全話最高に作画が安定して綺麗でした。先入観を取っ払ったアニメならではこその「夜」の描き方がとても美しい。それだけでも十分に見る価値はあると思いました。
夜や吸血鬼、友達との交友といった題材については他の作品でもある程度語られてきたので新しい解釈的なことはあまり感じ取ることはできなかったが、登場人物同士の関係性を雑談の中で見ることができたのはよかったです。また、雑談についてはほほえましい会話を表現するうえでの大前提であるセリフじみた違和感のなさというのを全く感じなかったので、それだけでどんな会話でも十分楽しい。
締め(銀魂について)
日常系のアニメの比率が今回多くなってしまったが、シリアスとユーモアさが混ざり合った作品であればあるほどキャラクター同士の雑談は見ていてより面白い作品になるなと改めて記事を書いていて感じました。ヨルムンガンドはシリアスを軸にユーモアさを随所に取り入れ、化物語はユーモアさを軸にシリアスな本編を展開させていると解釈しています。
ギャグ、シリアス、下ネタなんでもありの銀魂が今回対象にならなかったのはあくまであの作品は「シリアス」と「ギャグ」を両方とも同じ密度で物語に取り入れているので雑談的といより「お笑い」に近いテイストにまでシフトしている気がしています。それでも銀魂は銀魂ですごく面白いのでいずれ感想を書きたいなとは考えています。
ここまでお付き合いいただいた方ありがとうございます。他にも雑談系の作品があったら随時紹介できればと思います。
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